イベント情報
模擬授業
神戸大学理学部では、学問の基礎となる理学の教育研究の実際を、未来を担う若い人たちに体験していただくために、模擬授業(2009年度まで出前授業)を2010年度より実施してきました。
本年度も大学での理学をより身近に感じて頂くために、模擬授業を体験していただくことを計画しております。
模擬授業概要
理学部模擬授業では以下のような基本コースを準備しています。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 10:30~10:35 | 神戸大学理学部紹介 |
| 10:40~11:40 | 模擬授業1 |
| 11:40~13:10 | 昼食・休憩 (この時間に理学部周辺を散策できます) |
| 13:20~14:20 | 模擬授業2 |
- 申し込み多数の場合、お断りすることがあります。収容人数は最大100名程度までです。
- 講義タイトル表から希望される講義の記号を2つ選んでください。
- 模擬授業で本学に訪問する場合、指定された建物や講義室以外には立ち入らないでください。
- 訪問の際は、担当教員の引率をお願いします。教員は事故の予防に留意してください。事故の際はその対応をお願いすることがあります。
模擬授業の際には研究室・施設見学は行いません。研究室・施設見学をご希望の方は、8月に実施されるオープンキャンパスをご利用ください。
また、担当講師の都合や学内行事による教室利用のために、ご希望に添えない場合がありますのでご了承ください。
お問い合わせ先
神戸大学理学部教務学生係 (代表)
住所:〒657-8501 神戸市灘区六甲台町1-1
電話:078-803-5767 FAX:078-803-5770
Mail:sci-kyomu@office.kobe-u.ac.jp
2026年度模擬授業・講義タイトル
数学科
M1.【講義】解の公式
講師:森本 和輝(数学専攻・准教授)
中学生の時に学んだように、2次方程式には解の公式があります。実際、平方完成を用いることで2次方程式の一般的な解、つまり解の公式を求めることができます。では、3次方程式や4次方程式の場合はどうでしょうか。この場合には平方完成だけではうまくいきません。
この講義では、16世紀頃に発見された3次方程式や4次方程式の解の公式とそれらにまつわるお話をしたいと思います。
M2.【講義】等周問題と円形渦糸の形の安定性
講師:檜垣 充朗(数学専攻・准教授)
長さが決まった曲線で囲まれる面積は、なぜ円で最大になるのでしょうか。この問題は等周問題と呼ばれ、古代ギリシャにまでさかのぼる古典的な幾何学の問題です。実はこの「円の特別さ」は、火口から上がる煙の輪やイルカのつくる空気の輪を表現する渦糸(うずいと)について、その運動を数学的に取り扱うときにも現れます。実際、円形の渦糸は、全体として少しずれたり回ったりしても形そのものは崩れにくく、その背景には等周 問題や円の特別さがあります。 この授業では、まず正多角形との比較などを通して等周問題を直感的に理解します。次に、この考え方を空間内の閉曲線を真上から見た影の面積に応用します。そして最後に、円形渦糸の形の安定性を、難しい計算は省いてアイデア中心に紹介します。古典幾何学の問題が現代の流体の数学へとつながる面白さを、身近な例とともに感じてもらうことを目指します。
M3.【講義】最適性の保証と双対定理
講師:岩政 勇仁(数学専攻・准教授)
与えられた関数を最大化,もしくは最小化するような問題を「最適化問題」といいます.例えば,現在地から目的地までの最短経路(一番所要時間が短い経路)を求める問題も最適化問題の一例となります. 現在手元にある暫定解が最適であることを保証するためには,「暫定解より良い解は存在しない」ということを証明する必要があります.本講義では,解の最適性を保証するのに有用な双対定理(最大最小定理)を,色々な組合せ最適化問題の例を通じて説明します.また,それに関連して,ミレニアム懸賞問題の一つである「P vs. NP 問題」に触れたいと思います.
M4.【講義】結び目の彩色
講師:和田 康載(数学専攻・准教授)
ネクタイ、リボン、ロープなど私たちの身の回りには様々な「結び目」があります。このような結び目を数学的に取り扱って研究する分野を、結び目理論といいます。研究対象である結び目はいつでもこの目で見ることができ、また触れることができるため、結び目理論は非常に身近な研究分野です。
この授業では、三彩色と呼ばれる結び目に色を塗る方法を用いて、「ほどける結び目」と「ほどけない結び目」の違いを解説します。結び目の数学を通して、現代数学の世界の一端を紹介します。
物理学科
P1.【講義+実演】液体窒素を使って極低温の世界で遊んでみよう
講師:大久保 晋(物理学専攻、ライフ光学イノベーション研究センター・准教授)、藤 秀樹(物理学専攻・教授)、菅原 仁(物理学専攻・教授)
身の回りにある空気は窒素と酸素で出来ています。普段の生活では気体の窒素も77K(摂氏マイナス196度)では液体です。物を極端に冷やすと日常とは違った世界が広がっています。高温超伝導体を知っていますか?液体窒素につけると電気抵抗ゼロの超伝導状態になり、磁石がその上に浮きます。マイスナー効果という現象です。手品ではありません。
その他、身近の物を液体窒素につけて遊んでみましょう。普段の生活では見られない未知の体験が待っています。
※1クラス最大で50名まで
P2.【講義】物性物理学から量子情報理論へ
講師:西野友年 (物理学専攻・准教授)
原子・分子が登場するミクロの世界では、量子物理と呼ばれる自然の法則が物質の構造や性質を決定しています。その支配は、私たちが目にするものの色や形、そして手触りや硬さなど、身近な物体にまで及びます。 物性物理学は物質に関わるさまざまな現象を、理論と実験の両面から解明して来ました。得られた物性の理解は半導体をはじめとして、私たちの生活に使われる化合物の開発と応用に広く役立っています。 量子コンピューターは、物質が示す量子的な振る舞いをより直接的な形で情報処理に活用する新しいタイプの計算機で、物性物理学の知識と量子情報理論を駆使して急速に開発が進んでいます。 授業では物質と量子の世界を見渡しつつ、これらに共通する理論的枠組みとして今世紀初頭に提唱された「テンソルネットワーク」についても、簡単な実例を交えてお話しします。 生徒の皆様からの質問・コメントも大歓迎です。
P3.【講義】素粒子と宇宙
講師:山崎 祐司(物理学専攻・教授)、竹内 康雄(物理学専攻・教授)、身内 賢太朗(物理学専攻・教授)、前田 順平(物理学専攻・准教授)、鈴木 州(物理学専攻・講師)、伊藤 博士(物理学専攻・講師)、東野 聡(物理学専攻・特命助教)
科学技術の発展とともに、我々は少しずつ極微の世界、また遙か彼方の宇宙の様子を見ることができるようになりましたが、「物質の根源は何だろうか」、「我々の住む宇宙はどうなっているのか」 という2千年以上も昔から問われ続けられている人類共通の素朴な疑問に、我々は未だに明確な解答を見つけることができません。 これにチャレンジしているのが素粒子物理です。素粒子と宇宙というのは、一見両極端であるように感じられるかもしれませんが、 実は、宇宙の始まりを理解するためには、素粒子のことをもっともっと知る必要があるのです。皆さんも自然の神秘についての素朴な疑問を発してみませんか。 この授業では、神戸大学の素粒子実験グループが進めている研究、「大型加速器を使った素粒子実験」、「初期宇宙の痕跡を探るための宇宙線観測」を中心に、我々がどんな謎に迫ろうとしているのか紹介します。
P4.【講義】素粒子宇宙理論
講師:早田次郎 (物理学専攻・教授)、神野隆介 (物理学専攻・准教授)、伊藤飛鳥 (物理学専攻・助教)
宇宙には星、銀河、そして銀河団と様々な構造が存在します。 このような宇宙の構造はどのようにして生まれ、どのように進化してきたのでしょうか? 観測技術の発展によって、我々の宇宙に対する理解は格段に進んできました。 と同時に、ダークマターやダークエネルギーに代表されるように新たな謎が生じています。 現在、宇宙論と素粒子論は互いに助け合いながらこれらの謎へ挑戦しようとしています。 例えば、超弦理論や超重力理論を基礎に宇宙誕生時のインフレーションを研究し、宇宙背景放射観測と比較することで素粒子論と宇宙論の両方の理解を深め、宇宙誕生の謎に迫るという研究をしています。 また最近、ついに重力波が発見されました。この重力波を詳細に観測する事で、今まで想像もしなかったような宇宙の新たな姿が見えてくるに違いありません。 この授業では、理論的手法を駆使して宇宙の解明に迫る研究についてお話しします。
化学科
C1.【講義】光で探る1分子の世界
講師:立川 貴士 (化学専攻, ライフ光学イノベーション研究センター・教授)
コップ一杯の水には、想像できないほど多くの分子が含まれています。その中から、たった1個の分子だけを観察できるとしたら、どのような世界が見えるのでしょうか? 本講義では、“光”を使って1分子を観察する「単一分子蛍光イメージング法」を紹介します。 この手法によって、これまで見えなかった分子の動きや化学反応の瞬間を捉えることで明らかになってきた新しい現象や、太陽光エネルギー変換技術への応用例についてお話しします。
C2.【講義】タンパク質の立体構造
講師:茶谷 絵理 (化学専攻・教授)
私たちの体には、約10万種類ものタンパク質が存在します。どのタンパク質も特有の立体構造をとり、その構造によって多様な機能が生まれ、生命システムが形作られます。 興味深いことに、タンパク質には自発的に正しい立体構造を形成する性質があります。この講義では、その基本原理について解説します。 また、この仕組みが破綻したときに進行する、有毒性を伴うタンパク質凝集反応についても紹介したいと思います。
C3.【講義】量子もつれがおこす化学反応
講師:小堀 康博(化学専攻,ライフ光学イノベーション研究センター ・教授)
現在、「量子技術」とよばれる科学技術の発展がめざましく、例えば量子コンピューターの進歩が医薬品の早期開発など、様々な分野で私たちの生活を大きく変える貢献が期待されています。 量子技術とは、従来のコンピューターが用いる「0」と「1」の「ビット」を用いる演算方式と大きく異なり、「量子ビット」とよばれるとても小さな素粒子が複数個で作る「量子もつれ」という現象を活用する様々な技術を指します。 この授業では、植物光合成において量子もつれが導く化学反応を紹介し、その中身について解説します。
C4.【講義】分子がチームになると何ができる? ―生命に学ぶ新しい化学反応
講師:三ツ沼 治信 (化学専攻・准教授)
私たちの体の中では、多くの分子が互いに協力しながら、エネルギーをつくったり、情報を伝えたり、必要な物質を正確につくったりしています。このように、複数の分子が集まって初めて生まれる機能を「分子システム」として考えることができます。 この授業では、生命の中で働く分子の仕組みをヒントに、光や触媒を使って新しい化学反応を生み出す研究を紹介します。分子を一つずつ見るだけでなく、 分子同士のつながりや協力関係を設計することで、これまで難しかった物質変換や新しい材料づくりが可能になることを、できるだけわかりやすく解説します。
生物学科
B1.【講義】植物はどうやって自分の周りの変化を知り、反応するのか?
講師:相原 悠介(生物学専攻・准教授)
地面に根を張り動かないように見える植物は、よく観察すると、光・水分・外敵など周囲の様々な情報を感知してその生き様を巧みに変えています。そのような植物の「環境適応」には、細胞内の多くのタンパク質や伝達分子が関わっています。
この授業では、植物の通気孔である「気孔」の開閉運動を題材に、今までわかっていること、まだわかっていない面白いことを解説します。そしてこの仕組みを操作して人間の生活に役立たせる取り組みを紹介します。
B2.【講義】生命の設計図である遺伝情報は安定に維持できるのか?
講師:横井 雅幸 (生物学専攻・准教授)
細胞は生物の最小構成単位です。それぞれの細胞には、その生物の「設計図」と言える遺伝情報が備わっています。ところが、遺伝情報の本体であるDNAを取り巻く環境は決して平穏ではなく、DNAは常に傷ついています。
では、DNAはどのような原因で傷つき、細胞は傷ついたDNAをどのように扱うのでしょうか。
この授業では、私たちヒトを例に取り、DNAに傷をつける身近な要因と、DNAの傷に対処する代表的な分子機構、さらにその破綻により引き起こされる病気について紹介します。
B3.【講義】再生できる生き物・できない生き物 ― 遺伝子はどう働くのか?
講師:越智 陽城(生物学専攻・教授)
魚やカエルは、けがをしても体を元通りに再生できる不思議な力を持っています。たとえば、失った手足が時間とともにまた生えてくるのです。一方で、人間をふくむ哺乳類では、同じような再生能力はほとんどありません。
実は、魚やカエルが再生に使っている遺伝子は、人間をふくむ哺乳類にもあるのです。その違いのカギを握っているのが、「非コードDNA」という、たんぱく質を作らないDNAの領域です。
この領域は、長らく「意味がない」と思われてきましたが、今では遺伝子のスイッチとして働くことがわかってきました。
私たちは、カエルや魚、細胞を使って、この非コードDNAが再生や発生にどう関わっているのかを調べています。
この授業では、『なぜ生き物は再生できるのか?』というナゾを、遺伝子のスイッチである非コードDNAのはたらきに注目して、一緒に考えていきます。
B4.【講義】「植物」をやめた植物たち -光合成をしない、ちょっとずるい生存戦略-
講師:末次 健司 (生物学専攻・教授)
皆さんは、「植物の特徴は?」と聞かれたとき、どのように答えるでしょうか。多くの方は、「光合成を行うこと」と答えるのではないでしょうか。しかし実は、植物の中には、自らの根源的な特徴である光合成をやめ、いわば「植物をやめた植物」ともいえるものたちが存在します。
こうした不思議な植物たちの暮らしぶりを解き明かすことが、私の研究テーマです。
本講義では、「植物」をやめた植物が見せる、驚きに満ちた生き方の一端をご紹介したいと思います。
惑星学科
W1.【講義】南海トラフ巨大地震:歴史と科学
講師:吉岡 祥一 (惑星学専攻、都市安全研究センター・教授)
本授業では、南海トラフ巨大地震を歴史と科学の2つの視点から概観します。
白鳳・宝永・昭和の大地震を取り上げ、津波や火災旋風、デマ拡散といった被害を紹介し、BPT分布や時間予測モデル、室津港のデータを踏まえた2025年の最新の長期評価を解説します。
さらに、強震動・津波・液状化・火災、さらには富士山噴火との複合災害リスクを具体的に提示します。加えてHi-net、DONET、S-net、N-netなどの観測網や緊急地震速報の効果を取り上げます。
W2.【講義】海洋掘削が明らかにする地球のヒミツ
講師:山本 由弦 (惑星学専攻、海洋底探査センター・教授)
日本の地下でも起こっているプレートの沈み込みは、「地球が生命の暮らせる星」であるために大きな役割を果たしています。一方で、そこでは大きな地震や火山噴火が起こり、私たちの脅威にもなっています。海洋は、地球表面積の70%以上を覆っており、私たちがまだ知らない地球の情報をたくさん保持しています。これを探るために、世界中の研究者が集まって国際的な海洋掘削探査が行われており、日本からも「ちきゅう」が参加しています。
この授業では、最近行われた航海の様子を紹介するとともに、掘削によって明らかになった地球のヒミツを紹介します。
W3.【講義】太陽系に広がる「宇宙」氷の世界
講師:保井 みなみ (惑星学専攻・講師)
氷は地球上だけに存在する特別な物質ではありません。太陽系全体を見渡してみると、ほぼ至る所に存在する普遍的な物質です。その「宇宙」氷は、氷でできた巨大氷惑星から小規模な氷河に至るまで、大小様々に形を変えて、私たちにその姿を見せてくれます。
その「宇宙」氷の魅力を、惑星探査の話を交えながらお話しします。太陽系の宇宙氷天体を巡るグランドツアーに参加して、その魅力に一度触れてみませんか。
W4.【講義】惑星天気予報:金星は今日も曇り、火星は砂嵐でしょう
講師:樫村 博基 (惑星学専攻・准教授)
私たちに身近な天気予報は、地球の大気をコンピュータ上で再現することで実現しています。一方、金星や火星にも大気が存在し、地球とは異なる様々な大気現象がおこっています。
本講義では、はじめに、大気をコンピュータ上で再現する方法を解説します。次に、金星や火星の大気現象とそれらの再現を目指した最新の研究を紹介します。こうした研究が進めば、将来「惑星天気予報」が実現するかも知れません。