神戸大学 大学院理学研究科・理学部

News Release

2020.04.21

生物学専攻の末次健司准教授らの研究グループによる、アルビノの発見をもとにツツジ科イチヤクソウ属が菌類から栄養を得るように進化した過程を考察した論文が、 American Journal of Botany誌に掲載されました。

生物学専攻の末次健司准教授と北海道大学総合博物館の首藤光太郎助教らによる研究グループは、ツツジ科イチヤクソウにおいて光合成をおこなわない突然変異体(アルビノ)の開花個体を発見しました。植物を定義づける重要な形質として「葉緑素をもち、光合成を行う」ことが挙げられます。しかし、植物の中には光合成をやめて、キノコやカビの菌糸を根に取り込み、それを消化して生育するものが存在します。このような植物は、菌従属栄養植物と呼ばれます。植物がどのようにして光合成をやめ、寄生生活を営むことができるのかは、植物学上における非常に大きな問いといえます。しかし一般に菌従属栄養植物は、最も近縁な独立栄養植物とでさえ、系統的に大きくかけ離れています。そのため寄生性を可能にした適応進化以外にも、さまざまな変異が見られ、どのような適応を経て寄生性の獲得に寄与したのかを明らかにするのは困難でした。今回アルビノが、ラン科以外の被子植物からは初めて報告されたことで、ほとんど遺伝基盤が変わらない同種間での菌従属栄養性の程度が異なる研究材料を得ることができるようになりました。ラン科のみで行われてきたアルビノを用いた菌従属栄養性に関する研究が、系統的に離れたツツジ科でも進展することが期待されます。 詳しくは、こちらをご覧ください。

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