2020.04.22

生物学専攻の近藤侑貴准教授らの研究グループが，維管束細胞の「職業選択」を決める分子スイッチGSK3を発見し，論文がCommunications Biology誌に掲載されました。

生物学専攻の近藤侑貴准教授、東京大学の福田裕穂理事副学長、理化学研究所の豊岡公徳上級技師らの研究グループは、植物維管束を構成する篩部細胞の分化運命を切り替える分子スイッチ”GSK3”を発見しました。維管束は、体中にはりめぐらされており栄養分やホルモンを全身に運ぶという重要なはたらきをもちます。中でも、光合成で作られた糖を運ぶ篩部組織は主に、輸送を担う「篩管細胞」とサポートをおこなう「篩部伴細胞」の２種類の細胞から成り立っています。これら２つの細胞の細胞比率のバランスがどのように決められているのかはこれまでわかっていませんでした。今回、私たちは「篩部伴細胞」を誘導することのできる新規培養方法“VISUAL-CC”の開発に成功し、「篩管細胞」と「篩部伴細胞」の運命がタンパクリン酸化酵素GSK3の活性によって切り替えられることを発見しました。実際に、 GSK3の活性を植物の中で強めたり弱めたりすることで、「篩管細胞」と「篩部伴細胞」の比率を人為的に操作することができるようになりました。今後は、このような細胞運命の操作を通して維管束を構成するさまざまな細胞をパーツとして作り出せるようになり、 将来的には人工維管束のような輸送装置を創る足掛かりなると期待されます。詳しくは、こちらをご覧ください。

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