神戸大学 大学院理学研究科・理学部

News Release

2020.06.18

惑星学専攻の野崎達生客員准教授らの研究グループは、南鳥島沖に分布する超高濃度レアアース泥の生成年代決定を行い、約3,450万年前に起こった地球寒冷化に伴って生成したことを示した論文がScientific Reports誌に掲載されました.

 東京大学大学院工学系研究科と国立研究開発法人海洋研究開発機構を中心とする研究グループは、2013年に南鳥島沖の排他的経済水域内で、 有望な海底鉱物資源「超高濃度レアアース泥(でい)」を発見しました。この超高濃度レアアース泥は、レアアースを濃集する魚の骨を大量に含んでいます。 しかし、そのような大量の魚の骨が、いつ、どのようにして堆積したのかは、依然として謎に包まれていました。 今回、神戸大学大学院理学研究科の野崎達生客員准教授、東京大学大学院工学系研究科の大田隼一郎助教、安川和孝講師、見邨和英さん(博士課程3年)、 中村謙太郎准教授、加藤泰浩教授、早稲田大学理工学術院の髙谷雄太郎主任研究員、千葉工業大学次世代海洋資源研究センターの藤永公一郎上席研究員、 国立研究開発法人海洋研究開発機構の臼井洋一研究員、木村純一上席研究員(シニア)、常青主任研究員からなる研究グループは、 魚の歯の化石と海水中の極微量元素であるオスミウムの同位体比を組み合わせた年代決定法を用いて、超高濃度レアアース泥が約3,450万年前に生成したことを突き止めました。 この時代は地球規模の寒冷化の開始時期にあたり、海洋大循環が強まりました。深海底を流れる底層流が巨大な海山にぶつかり湧昇流を発生させ、大量の栄養塩を表層にもたらし、 海山周辺で魚類が急激に増えたと考えられます。その結果、魚の骨が大量に海底に堆積し、超高濃度レアアース泥が生成しました。 南鳥島を含む現在の北西太平洋から中央太平洋にかけては、大きな海山が多数存在するため、これらの海山の周辺を探査することで新たな超高濃度レアアース泥が発見できると期待されます。
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