神戸大学 大学院理学研究科・理学部

News Release

2021.03.11

惑星学専攻の野崎達生客員准教授らの研究グループが,氷期-間氷期サイクルに対して 地球の岩石圏が鋭敏に応答していた明確な証拠を見出し,Scientific Reports誌に掲載されました.

 神戸大学大学院理学研究科惑星学専攻の野崎達生客員准教授らは,国立大学法人東京大学,学校法人千葉工業大学, 国立研究開発法人海洋研究開発機構,パドバ大学と共同で,新生代第四紀の更新世チバニアン期~完新世ノースグリッピアン期にあたる 約30万年前?約6千年前に堆積した,南太平洋ラウ海盆の深海堆積物の化学組成およびオスミウム (Os) 同位体比の分析を実施しました.その結果,海底での火成活動や陸上岩石の化学風化など地球の岩石圏 (固体地球) の変動を示す指標である海水Os同位体比が,第四紀の周期的な気候変動である氷期-間氷期サイクルに伴い 明確に変動してきたことを世界で初めて見出しました.さらに,海洋での物質収支シミュレーションを実施した結果, 本研究により見出された海水Os同位体比の変動が,大陸氷床の後退時における氷河堆積物の急速な化学風化 および大陸氷床の発達時における海底熱水活動の活発化を反映していることを明らかにしました. 本研究の成果は,現在の地球温暖化が進行し,大陸の氷床がさらに減少した際に,地球システムがどのように応答するかを 数万年スケールで予測していく上で重要な知見となります.
 本成果は,英国のNature Publishing Group (NPG) が発行する学術雑誌「Scientific Reports」に3月11日 付け (日本時間) で掲載されました.
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