神戸大学 大学院理学研究科・理学部

News Release

2021.06.01

生物学専攻の近藤侑貴准教授らの研究グループは、植物が永きにわたって幹細胞を維持する新たな仕組みを見いだし、その成果がThe Plant Cell誌に掲載されました。

 植物は生涯にわたって幹細胞を維持することで永続的に発生・成長し続ける性質を持っており、それには幹細胞の増殖と分化とのバランスを保つことが重要となります。幹や茎を太くする肥大成長は、形成層と呼ばれる分裂組織に存在する維管束幹細胞が増殖し、道管や篩菅を構成する細胞に分化することによって成り立っていますが、これまで維管束幹細胞を安定的に維持する仕組みはわかっていませんでした。今回、生物学専攻の古谷朋之学術研究員、近藤侑貴准教授らと、九州大学の佐竹暁子教授、東京大学大学院農学生命科学研究科の田之倉優特任教授、宮川拓也特任准教授らと同附属生態調和農学機構の矢守航准教授らの共同研究グループは、情報生物学的解析から維管束の発生過程に特徴的な遺伝子発現ネットワークの構築に成功し、その中から維管束幹細胞を制御するBES/BZR転写因子ファミリーに属するBEH3を新たに見出しました。遺伝子機能の解析から、BEH3は他のBES/BZR転写因子と比べて遺伝子発現調節の活性が著しく弱いことがわかりました。これらの機能の違いにより、BEH3が他のBES/BZR転写因と競合的に働くことで、維管束幹細胞の増殖と分化の制御を安定化させるという新たな幹細胞維持の仕組みを明らかにしました。
 この研究成果は、2021年6月1日に、米国の植物科学専門誌The Plant Cellにオンライン掲載されました。
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