神戸大学 大学院理学研究科・理学部

News Release

2021.10.29

惑星学専攻の杉岡裕子教授らの研究グループは、過去5000万~2500万年前の間に西太平洋赤道直下のマントル深部に沈み込んだ太平洋プレートの描像を地震学的解析により初めて見出し、その成果がScientific Reports誌に掲載されました。

 西太平洋赤道域に位置するオントンジャワ海台及びその周辺下のマントル地震波速度構造を明らかにし、地震波速度が速い広大な領域がオントンジャワ海台下の深さ500-600㎞に存在することを世界で初めて発見しました。オントンジャワ海台南西のソロモン諸島沿いのプレート境界では現在はオーストラリアプレートが太平洋プレートの下に沈み込んでいますが、約5千万年前から2千5百万年前の間には太平洋プレートが沈み込んでいました。今回発見したプレートは、沈み込んだ太平洋プレートの残骸と考えられます。また、オントンジャワ海台の北側には東西に並ぶカロリン火山列がありその火山列の下には横たわった太平洋プレートの残骸の端から高温度を示す地震波低速度異常がシート状に広がっていることが分かりました。これは下部マントルからの上昇流が深さ600㎞で横たわった太平洋プレートの残骸にぶつかり、シート状に形状を変えたものと考えられます。
 この成果は沈み込むプレートとマントル上昇流の相互作用が火山活動など地表のテクトニクスに与える影響を示したものです。
 本研究成果は、10月28日に、英国科学誌「Scientific Reports」(Nature Publishing Group)に掲載されました。
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