神戸大学 大学院理学研究科・理学部

News Release

2022.06.09

惑星学専攻の斎藤貴之准教授らの研究グループは最新の高精度シミュレーションを行い, 星団形成の現場を明らかにしました.

星は分子雲と呼ばれる密度が高く冷たい星間ガスから生まれます。とくに、多数の星が同時期に生まれると星団と呼ばれる星の集団になります。星団は、強いエネルギーフィードバックを引き起こす大質量星を含むことが多く、そのような大質量星の形成現場として注目されています。

私達は、恒星の重力による運動を従来より高精度で解くことができる新しい星団形成シミュレーションコードを開発し、分子雲からの星団形成過程の大規模シミュレーションを行いました。そして、このシミュレーションから、我々の近くに存在するオリオン大星雲の中心部にある星団から互いの重力による加速で弾き出された大質量星が、オリオン大星雲の電離領域の形成のきっかけとなった可能性を示しました。このような可能性を示せたのは、従来より高い精度を持つ計算方法を用いたからです。

今後はこのシミュレーションコードを、より大規模な星団の形成や銀河の形成シミュレーションに適用していき、恒星の運動に基づく天体の形成と進化の詳細に挑んでゆきます。

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