神戸大学 大学院理学研究科・理学部

News Release

2022.06.28

生物学専攻の末次健司准教授と博士前期課程の西垣宏紀さんが、サトイモ科の「浦島草」の名前の由来となった「竿」の適応的意義を解明し、その成果を Ecology 誌に発表しました。

 ウラシマソウ(浦島草)には、50cm以上にも及ぶ長い釣り竿のような付属物が花の集合体の上部から突き出ています。この様子を浦島太郎が釣りをする様子に見立てたのがウラシマソウの名前の由来です。しかしウラシマソウを特徴づける「竿」の機能的意義は長年の間未解明のままでした。そこで、神戸大学大学院理学研究科の末次健司准教授、西垣宏紀氏(末次研、大学院生) らの研究グループは、ウラシマソウの「竿」が花粉の運び手(送粉者)の誘引にどのような影響を与えているのかを3年間に渡るフィールド実験によって検証しました。

 ウラシマソウに特徴的な「竿」の切除実験から、「竿」は主要な送粉者と想定される特定のキノコバエ類に対してだけ誘引効果を発揮し、その他の昆虫は「竿」の影響を受けないことが分かりました。さらに、「竿」を切除すると、花が果実に成長する確率(結果率) が有意に低下することも分かりました。つまりウラシマソウの「竿」は、主要な送粉者を文字通り選択的に「釣る」道具として機能し、繁殖成功を高めていることが分かりました。

 本研究成果は2022年6月28日に、国際科学誌「Ecology」の電子版に掲載されました。
詳しくはこちらのページをご覧ください。

ニュース一覧