神戸大学 大学院理学研究科・理学部

News Release

2022.11.25

「貴金属に富んだ星々は100億歳」: 惑星学専攻の斎藤貴之准教授と牧野淳一郎教授が参画する研究グループが 世界最高解像度天の川銀河シミュレーションに成功しました。

地球は天の川銀河の中にあります。天の川銀河は、宇宙誕生以来138億年をへて現在の姿になったと考えられていますが、その詳細はまだ明らかになっていません。

今回、神戸大学理学研究科惑星学専攻の斎藤貴之准教授と牧野淳一郎教授は、東北大学大学院理学研究科の平居悠研究員らと協力し、国立天文台の天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイII」を用いて世界最高解像度の天の川銀河形成のシミュレーションに成功しました。このシミュレーションは、暗黒物質や通常の物質の重力流体力学的進化に加えて、星の形成、星からのエネルギーフィードバックや金属量放出などを考慮していて、銀河の中の星の持つ元素分布について言及できます。

このシミュレーションから、研究グループは金やプラチナなどの鉄よりも重たい元素を多く含む星は、天の川銀河形成の母体となった小銀河の中で100億年以上前に形成されたことを明らかにしました。また、こうした星たちの運動の特徴はこれまでに得られている天の川銀河の星の運動とよく対応することがわかりました。

このように研究グループはコンピュータシミュレーションから天の川銀河の形成過程の一端を明らかにすることに成功しました。研究グループは引き続き、さらなるモデルの洗練化、シミュレーションの大規模化により、さらに精密に銀河形成の様子を再現し、銀河形成過程の解明に取り組む予定です。そして「私たちがどこから来たのか?」という根源的な問いに挑んでいくとのことです。

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