神戸大学 大学院理学研究科・理学部

News Release

2023.01.24

生物学専攻の末次健司教授と博士前期課程の橋脇大夢さんが、アマミノクロウサギが植物の種子の運び屋として活躍していることを発見し、 その成果をEcology誌に発表しました。

 生物学専攻の末次健司教授と博士前期課程の橋脇大夢さんは、アマミノクロウサギが、ヤクシマツチトリモチという光合成をやめた 風変わりな植物の種子の運び屋として活躍していることを明らかにしました。 これまで、ウサギは主に葉を食べると考えられてきたため、種子の運び屋としての役割にはほとんど注意が払われていませんでした。 本研究は、ウサギの仲間が種子の運搬を担うことを証明するアジアで初めての研究です。

 またアマミノクロウサギは、奄美群島を代表する象徴的な動物ですが、その希少性や夜行性の行動様式から、 生態学的な情報は限られていました。本研究は、アマミノクロウサギの知られざる生態学的機能を明らかにした点で意義深いと言えます。 さらに実はヤクシマツチトリモチも絶滅が危惧されている生物種ですが、今回アマミノクロウサギに分布域の拡大を 依存している可能性が示されたことで、両者には深い関わりがあるということがわかりました。 つまり、ある絶滅危惧種(今回の場合は、アマミノクロウサギ)を守ることが、別の絶滅危惧種(ヤクシマツチトリモチ)を 守ることに繋がるのです。有名なアマミノクロウサギであっても、まだまだ未知の生物同士の繋がりが隠されていました。 こうした生き物同士の繋がりを深く理解することは、奄美大島の原生林の重要性の再認識、ひいては環境保全に寄与すると期待されます。

 本研究成果は1月23日に、国際科学誌「Ecology」の電子版に掲載されました。 詳しくはこちらのページをご覧ください。

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