神戸大学 大学院理学研究科・理学部

News Release

2023.02.17

生物学専攻の末次健司教授が、葉が退化したラン科植物「クモラン」の根が光合成に特化していることを発見し、その成果をNew Phytologist誌に発表しました。

 生物学専攻の末次健司教授は、葉が退化したラン科植物「クモラン」の光合成機能を解析し、葉を持たない代わりに根が光合成に特化するように進化していることを明らかにしました。

 樹上で生活する着生ランのクモランは、葉をつけず根だけで一生のほとんどを過ごします。クモランの根は、他の植物の葉と同様に緑色をしているため、光合成により、ある程度自活していると推測されますが、実際にどの程度光合成できるかは不明でした。そこで末次教授らは、クモランの根の光合成機能を、近縁種で生育環境も似ているカヤランの葉や根と比較解析しました。その結果、クモランの根は、光合成に特化しており、まさに「葉」と同様といえる数々の性質を併せ持つといえることが分かりました。具体的には、クモランの根はカヤランの葉に匹敵する光合成活性をもつこと、気孔は無いが特殊な通気組織を備えること、カヤランの葉と同様に夜にCO2を取り込み、昼にそれを光合成に使うことが明らかになりました。つまりクモランでは、葉が無い代わりに根が光合成に特化するように進化したと考えられます。

 本成果は、ランの生態と進化における新たな知見を提供するとともに、植物の多様なあり方と光合成との関係の解明に貢献するものです。本研究成果は、2月14日に、国際誌「New Phytologist」にオンライン掲載されました。 詳しくはこちらのページをご覧ください。

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