News Release
2024.12.05
生物学専攻の末次健司教授が、光合成をやめた植物「アマクサツチトリモチ」が送粉と種子散布の両方をアリやカマドウマに依存していることを明らかにし、その成果を「Ecology」誌に発表しました。
多くの陸上植物は、動物と共生関係を築くことで繁殖を行っており、その代表的な例が花粉の運び屋さんとの共生関係である送粉共生と、
種子の運び屋さんとの共生関係である種子散布共生です。通常、植物の送粉と種子散布は異なる動物によって行われます。
具体的には、送粉はチョウやハナバチなどの昆虫が担い、種子散布は鳥などの脊椎動物が担うのが一般的です。
しかし、今回の研究では、アマクサツチトリモチが同じ昆虫に対して送粉と種子散布の両方を依存していることを世界で初めて示しました。
アリやカマドウマに送粉を託す戦略や、カマドウマに種子散布を託す戦略は、それぞれ単独でも非常に珍しく、これらも特筆すべき点です。
このような特殊な共生関係が進化した背景には、光合成をやめたこと、すなわちチョウやハナバチが少なく、風通しも悪い暗い環境に適応したことや、
寄生性の進化に伴う種子の小型化が関係していると考えられます。本研究は、光合成をやめた植物における送粉・種子散布システムの変化を同時に捉えた
稀有な例といえます。
本研究成果は、12月5日午前0時(日本時間)に国際誌「Ecology」に掲載されました。 詳しくはこちらのページをご覧ください。