研究関連
生物学専攻の末次健司教授と博士後期課程学生の岡田英士さんは、ラン科植物「コケイラン」を用い、光合成に加えて菌から炭素を獲得することが繁殖を促進する要因であることを明らかにし、 その成果を The Plant Journal 誌に発表しました。
2025/02/18
「植物」といえば「光合成を行うもの」という常識がありますが、一部の植物はキノコやカビの仲間に寄生することで光合成をやめたことが知られています。
一方で、こうした植物がなぜ、光合成をやめ寄生生活へと移行したのかについては、植物学における大きな謎とされ、特に寄生生活が植物にもたらすメリットはこれまでほとんど解明されていませんでした。
そこで末次教授らは、環境によって菌への依存度が変化するコケイランに注目し、菌から炭素を得る意義を探りました。
その結果、高い寄生能力をもつ個体では、光合成に加えて菌からの炭素供給を受けることで利用可能な炭素量が増え、より大きく成長し、多くの花をつけることが明らかになりました。
本研究は、本来は独立栄養であるはずの植物が寄生生活を営むことに適応的意義があることを示す、世界でも数少ない事例の一つです。
本研究成果は、2025年2月20日午前0時(日本時間)に国際誌「The Plant Journal」に掲載されました。 詳しくはこちらのページをご覧ください。