研究関連
分子フォトサイエンス研究センターの大久保准教授、太田名誉教授らの研究グループが、自発的マグノン崩壊を伴うテラヘルツ帯の広帯域一方向透過性に関する研究成果を Science Advances誌に発表しました.
2025/02/28
磁性と誘電性が強く相関したマルチフェロイック物質では、電気磁気効果に起因する新奇な物性が報告されています。 その一つが電流を一方向にだけ流して逆流を防ぐ半導体部品のダイオードに似た、光の「一方向透過性」です。 この性質を持つ物質は、光の吸収がなく透明に見える状態から光の進行方向を180°反転すると光の吸収が起こり透明でなくなります。 光の一方向透過性を、将来の高速無線通信への利用が進められているテラヘルツ光において観測しました。 観測された吸収エネルギーが1テラヘルツ以上の広帯域であることも、利用の幅が広くなるため応用上重要な特徴となっています。 さらに、詳細な理論計算により「一方向透過性」と「広帯域にわたる吸収エネルギー」を示す特異な吸収の起源が「自発的マグノン崩壊」であることも明らかにしました。 光励起現象としての自発的マグノン崩壊の観測は世界初の成果です。テラヘルツ光は超高速無線通信への利用が期待されており、この成果は光デバイス開発へ向けた材料探索の大きな指針につながります。
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本研究成果は、2025年2月26日に国際誌「Science Advances」に掲載されました。