研究関連
物理学専攻粒子物理学講座が参加するLHC加速器実験が質量生成メカニズムを実証するヒッグス粒子の特性測定などを評価され、ブレークスルー賞基礎物理学部門を受賞しました
2025/04/08
米グーグルの創業者らが出資するブレークスルー財団が主催する自然科学の国際的な学術賞「ブレークスルー賞」が4月5日(日本時間4月6日)に発表され、 基礎物理学部門で、欧州合同原子核研究機関(CERN)にあるハドロン衝突型加速器(LHC)で行われている四つの国際共同実験(コラボレーション)が受賞しました。
今回受賞したLHCの国際共同実験はALICE、ATLAS、CMS、LHCbの四つです。周長 27kmのLHCトンネルの中で陽子ビームを加速させ、四つの衝突点でそれぞれ実験を行っています。 世界中から数千人の研究者が参加しており、2024年7月までのデータに基づいて執筆された論文の成果が評価されました。 授賞理由は「質量生成の対称性破れのメカニズムを実証するヒッグス粒子の特性の詳細測定、強い相互作用をする新粒子の発見、稀少プロセスと物質―反物質非対称性の研究、最も短い距離と最も極端な条件での自然の探究」です。 神戸大学からも藏重久弥教授、山﨑祐司教授、前田順平准教授を始めとし、過去のメンバーも含め22名のスタッフ・大学院生がATLAS実験に参加した受賞者としてリストされました。
ATLAS実験とCMS実験は2012年に独立にヒッグス粒子を発見し、私たちの宇宙は「無」ではなく、ヒッグス場と呼ばれる目に見えない場で満たされていることが明らかになりました。 これにより、弱い力を担うW粒子やZ粒子がヒッグス場との相互作用によって質量を得るという「ヒッグス機構」が実証され、電磁気力と弱い力の統一理論の正しさが確認されました。 理論を提唱したピーター・ヒッグス博士、フランソワ・アングレール博士は翌2013年、ノーベル物理学賞を受賞しています。
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