研究関連
生物学専攻の末次健司教授は、光合成も性も手放した、キノコに似た外見をもつ植物「ツチトリモチ」の遺伝情報を解析し、この植物がどのような適応を経て現在の姿に進化してきたのかを明らかにしました
2025/12/22
光合成をやめた植物では、葉緑体が急速に退化して小さくなることが知られています。しかし、葉緑体が「いつ、どのような過程で縮小したのか」、また「なぜ完全には消滅せずに残されているのか」といった根本的な疑問は、これまで未解明のままでした。 今回の研究では、ツチトリモチ属の葉緑体ゲノムが一般的な被子植物の10分の1以下にまで縮小している一方で、細胞の成長や生存に不可欠なアミノ酸や脂肪酸などを合成する場として機能し、現在も重要な役割を果たしていることが示されました。
さらに、ツチトリモチ属の中には、「オス株がまったく存在せず、メス株だけが受精なしに種子をつくる」種や集団が複数知られていますが、この「メスだけで増える」繁殖様式が、日本および台湾の分布北限付近に位置する島々で、独立に何度も進化してきたことも明らかになりました。 この戦略により、メス株1個体が島に到達するだけでも新たな集団を成立させることができ、ツチトリモチ属が孤立した島々でも多様化してきた背景に深く関わっていると考えられます。
本研究成果は、2025年11月26日付で国際誌「New Phytologist」にオンライン掲載されました。 詳しくはこちらのページをご覧ください。