生物学専攻・坂山英俊講師、加藤将研究員の研究成果が、
朝日新聞、読売新聞、京都新聞、中日新聞に紹介されました。
2012.07.13
生物学専攻・坂山英俊講師、加藤将研究員の研究成果が、
朝日新聞
、読売新聞、
京都新聞
、
中日新聞
等に紹介されました。絶滅危惧種の車軸藻類「ホシツリモ」を西日本で初めて確認したものです。
ホシツリモ (Nitellopsis obtusa) を含む日本産車軸藻類は1970年代以降の淡水生態系破壊の影響で急速に姿を消しつつある。平成19年に環境省により公表されたレッドリストには、日本産車軸藻類約80種類のうち半数以上が絶滅危惧種および絶滅種として掲載され、ホシツリモは絶滅危惧I類に指定されている。日本におけるホシツリモは、4つの湖沼のみ(野尻湖、河口湖、芦ノ湖、山中湖)に分布が報告されていた希少種であり、現在では河口湖でしか野生集団は見られない。ソウギョの放流等の影響により絶滅した野尻湖では、野尻湖産の培養株が室内で保存され、野生集団復活に向けた保全活動が地域レベルで行われている。今回、滋賀県琵琶湖において2011年7月6日に沈水植物の植生調査を行ったところ、北湖西岸水深2m付近の沈水植物帯からホシツリモと思われる未成熟藻体が発見された。本藻体はホシツリモの識別に最も重要な星状体(無性生殖器官)を欠いていたが、本種に特徴的な肥大した節部と長大な苞細胞が確認でき、その他の形質も基本的にホシツリモの原記載と一致した。また、 琵琶湖産藻体の rbcL 遺伝子塩基配列(DNAバーコード領域)は既知のホシツリモの配列と完全に一致し、本藻体がホシツリモであることのより確かな確証を得た。今後、より詳細な調査に基づく湖内分布を把握するとともに、本種の保全対策が必要だと考えられる。
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