神戸大学 大学院理学研究科・理学部

研究トピックス

コケ植物から陸上植物の形づくりの仕組みと進化を探る

生物学科・生物学専攻 細胞機能教育研究分野 石崎 公庸 准教授

石崎 公庸 准教授  植物は、動物とは異なり、動かず、周囲の環境に適応しながら一生を通じて根や葉、花といった器官を作りつづけます。このような植物の柔軟な形づくりはどのような仕組みで成り立ち、進化したのでしょうか?陸上に植物が進出したのは約5 億年前、そして最初の陸上植物は現生のコケ植物に近かったと考えられています。私たちは、陸上植物の中で最も古く分岐したコケ植物のゼニゴケをモデルに、陸上植物の形づくりの仕組みとその進化について、ゲノム・遺伝子の視点から研究しています。

 特に興味をもっているのが、根・茎・葉などの分化した器官から親個体と遺伝的に同一なクローン個体をつくり増殖する「栄養繁殖」という現象です。植物の繁殖というと花での受粉など、交配を介した有性生殖を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、多くの植物は、交配を介さずとも栄養繁殖などの無性生殖の仕組みで増えることができるのです。ゼニゴケの場合は、杯状体というカップ上の器官の中に、円盤状の無性芽を100 個以上形成してバラ撒くことにより、栄養繁殖します。あまりに繁殖力が旺盛なため、庭の嫌われ者として有名です。

石崎 公庸 准教授  私たちは、ゼニゴケの研究に、次世代DNAシーケンサーという最新の解析技術を導入することにより、無性芽や杯状体で特異的に働く遺伝子を見つけることに成功しました。さらにマウスなどで利用されている遺伝子ターゲティング技術により、それらの遺伝子が壊れた変異体を作出し、さらに詳しく調べることによって、ゼニゴケの栄養繁殖プロセスで働く重要な遺伝子を見出してきました。そして、ゼニゴケの栄養繁殖と、イネやトマトなど被子植物の腋芽形成(枝分かれ)の間には、進化的に共通する仕組みがあることが分かってきました。このように私達は、コケ植物の分子生物学研究から、陸上植物に共通する柔軟な形作りの起源と進化について新しい知見を得ることを目指して研究しています。

研究トピックス一覧