神戸大学 大学院理学研究科・理学部

研究トピックス

氷衛星の多様な表面地形の成因を探る!

惑星学科・惑星学専攻 実験惑星科学教育研究分野 保井 みなみ 助教

保井 みなみ 助授  地球には南極の氷床、ヒマラヤ山脈などの高地にある氷河など、氷が作る地形が存在します。このような氷が作る地形は、地球特有のものではありません。火星にも両極に氷床が、中緯度域には氷河が発見されています。また、木星などの4 つの巨大惑星の周りには、氷から成る地殻をもつ衛星(氷衛星)が多数存在します。さらに、氷を主成分とするカイパーベルト天体と呼ばれる小天体が、海王星よりさらに太陽から離れた領域に数多く存在します。このように氷は、地球特有の物質ではなく、太陽系に普遍的に存在します。

 私は、氷衛星特有の表面地形の形成過程について研究しています。氷衛星の表面には、大規模な山脈や断層、パズルのような割れ目構造、小天体の衝突で形成した衝突クレーターなど、様々な地形が見つかっています。また、山脈の多い衛星、クレーターで埋められた衛星など、氷衛星によってその様相は全く異なります。表面地形に多様性がある原因の1 つは、氷衛星の地殻の“ 硬さ” の違いです。氷衛星の地殻は、氷と岩石が様々な含有量で混合し、また雪のような空隙だらけの場合もあります。そのため、氷衛星によって地殻の“ 硬さ” が異なります。氷衛星の表面地形は、地殻が小天体の衝突や中心天体からの潮汐力を受けて変形または破壊して作られます。地殻の” 硬さ” が異なることは、その変形し易さや破壊し易さが変わることを意味し、これが氷衛星の表面地形の多様性を生む一因となります。私は、氷衛星地殻を模した様々な氷物質を使ってその強度を調べる実験を行っています。また、衝突によって氷衛星地殻にクレーターが形成する現象を調べるために、弾丸を加速する装置を使って衝突実験も行っています。実験は氷点下の低温室内で行います。そのため、写真のような防寒具が必要となります。

 氷衛星やカイパーベルト天体は地球からかなり遠いため、これまで詳しい事は分かっていませんでした。しかし、2004年以降、カッシーニ探査機が土星の様々な氷衛星を詳細に観測し、その表面地形の多様性が明らかになりました。現在、さらに外側の氷天体を調べるため、ニューホライズンズ探査機が冥王星、カイパーベルト天体に向かっています。また、木星の氷衛星の長期観測を行う探査計画JUICE が決定し、現在準備が進んでいます。今後のこれらの探査によって、氷天体の多くの謎がさらに明らかになることを、私は楽しみにしています。

研究トピックス一覧