研究関連

末次健司教授らの研究グループは、アミノ酸の窒素安定同位体比を用いて、菌根ネットワークを介した植物間の炭素移動の有無を判定する新たな指標を考案し、その成果をNew Phytologist誌に発表しました

2026/04/30

オオバナノエンレイソウ

 近年、「マザーツリー」や「wood-wide web」といった言葉とともに、地下の菌根ネットワークを通じて樹木同士が炭素を融通し合うというイメージが広く社会に浸透しています。 しかし実際には、どの程度の炭素が菌を介して移動しているのか、その規模や普遍性をめぐっては、現在も研究者の間で議論が続いています。

 今回、末次教授らは、菌から炭素と窒素を受け取って生活する菌従属栄養植物と、その近縁の緑葉植物を対象に、生態学において「食う・食われる」関係の解明に重要な役割を果たしてきた、 アミノ酸ごとの窒素安定同位体比に着目しました。その結果、通常は「食う・食われる」関係ではほとんど変化しないとされるフェニルアラニンの窒素安定同位体比が、菌従属栄養植物では、 炭素源である共生菌と比べて一貫して高くなることを見いだしました。

 この結果は、フェニルアラニンの窒素安定同位体比の上昇が、菌根ネットワークを介して炭素供給を受けている植物を識別する有効な指標となり得ることを強く示しています。 本研究により、従来の手法では判定が難しかった植物間炭素移動の有無についても、より高い精度で評価できる可能性が示されました。 詳しくはこちらのページをご覧ください。