修了生

大澤 哲史(おおさわ さとし)

修了:理学研究科 数学専攻 博士課程後期課程(2024年3月)
現職:株式会社神戸製鋼所 技術開発本部

自己紹介

理学研究科数学専攻に所属していた大澤と申します。
2018年4月に博士課程前期課程に進学、2020年4月に後期課程に進学。
2024年3月に後期課程を修了し、博士号を取得しました。
2024年4月に、神戸製鋼所に入社し、研究機関である技術開発本部に所属しました。

 

現在は、圧縮機などの大型産業機械における低振動化・低騒音化を目指した研究開発に従事しています。機械振動は部品の破損を引き起こす原因となるため、安定操業のためには対策が不可欠です。また、騒音は作業従事者だけでなく近隣住民の健康にも悪影響を及ぼすため、やはりその低減に取り組む必要があります。
こうした現象の解析において最も有効な手段のひとつがフーリエ解析であり、これは数学専攻時の研究とも強く結びついていると実感しています。

博士課程後期課程への進学について

博士課程後期課程で「非線形分散型方程式の初期値問題」という研究テーマに出会い、このテーマをより深く理解したいという思いから、博士課程後期課程への進学を決めました。この方程式は主に波動現象を記述するものであり、フーリエ解析を駆使してその解の性質を明らかにしていきます。

私が数学に魅了されるきっかけとなったのもフーリエ解析であり、それが研究を続けるモチベーションにもなっていました。
とはいえ、博士課程後期課程での研究生活は決して順調なものではありませんでした。

進学した2020年は新型コロナウイルスの流行により、生活が大きく変わった年でもありました。大学に通うことが難しくなり、私自身、先生とのコミュニケーションを疎かにしてしまった結果、計算が思うように進まない日々が続きました。

そんな中でも、先生は私を気遣ってくださり、研究を進める上で多くの助言をくださいました。そのおかげもあり、無事に博士の学位を取得することができました。根気強くご指導くださった先生には、感謝してもしきれません。

博士3年次からの就職活動

博士課程後期課程3年目の2022年、博士学生向けの就職支援イベントへの参加を勧めていただきました。自身の研究内容をプレゼンし、各社のリクルーターと直接会話し、つながりを持てる貴重な機会でした。学内開催だったこともあり、当時の私は比較的気軽な気持ちで参加していたように思います。
そこでお話しさせていただいたのが、現在所属している神戸製鋼所のリクルーターの方でした。私の研究に耳を傾けてくださり、同社の事業の中で、特に数学の知識が活かせそうな場面をご提案いただきました。現在所属している振動・音響分野は、同社の研究領域の中でも特に数学を多く活用する分野です。
イベントの後、間を置かずにリクルーターの方に研究所見学をお願いし、そこで面談させていただいたのが、今の上司にあたる方でした。そのまま就職活動を進め、神戸製鋼所から内定をいただくことができました。

就職してみて(博士課程後期課程を経て)

博士課程後期課程での研究は、常に「うまくいく」わけではなく、「うまくいかない」ことを繰り返しながら前進するものだと感じています。その点、私は人一倍「うまくいかない」経験をしてきたように思います。

それでも、博士課程後期課程を経て就職したことは、間違いではなかったと確信しています。

私の場合、就職を機に専門分野が数学から機械力学へと変わり、研究の進め方も、個人での計算中心からチームでの分担作業へと変化しました。こうした違いに戸惑うことも少なくありませんが、博士課程後期課程で数多くの「うまくいかない」を経験したことで、「うまくいかなくて当たり前」「周囲とコミュニケーションを取りながら着実に正解を探していく」という思考を身につけることができたように思います。

神戸製鋼所に限らず、多くの企業が、博士課程後期課程を経て「自身の研究に誇りを持てる人」「困難を自分のペースで乗り越えられる人」といった人材を求めています。

「博士課程後期課程に進学したものは、アカデミアに必ず残らなければならない」という時代ではなくなってきています。おもしろい人生の選択肢の一つとして、博士課程後期課程への進学をぜひ前向きに検討していただければと思います。

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