神戸大学 大学院理学研究科・理学部

研究トピックス

火山の進化・多様性のメカニズムを知りたい

惑星学科・惑星学専攻 岩石学・鉱物学教育研究分野 金子 克哉 准教授

金子 克哉 准教授  日本には数多くの火山があります。2014年9月27日の御岳火山噴火は、大きな噴火ではなかったものの、登山日和の昼間に登山道付近で起こるという最悪の場所とタイミングで発生し、たくさんの犠牲者を生み、社会に大きな衝撃を与えました。火山は噴火という恐ろしい災害をもたらします。その一方で、火山灰は肥沃な土壌をもたらし、また、火山は日本の美しい国土を作る重要な役割を担っています。日本の国立公園の7割以上は火山に関係しています。私はこの火山を理解したいと思い研究を行っています。

 私が火山に関して特に興味を持っていることは、火山が時間とともにどのように進化するのか、様々な火山の多様性はどのように生まれているのか、それらを支配するメカニズムは何かということです。1 つの火山を見たとき、火山は数十万年から百万年という時間で活動し、発達していきますが、ずっと同じように活動をするわけでなく、時間とともに、噴火するマグマの組成や量などが変化していきます。また、いろいろな火山を比べて見たときに、大きな火山、小さな火山、カルデラ火山など、様々なタイプがあり、個々の火山は、それぞれ異なる噴火史を持ち、様々な成分のマグマを噴出します。これらの火山の進化や多様性を生じるメカニズムや、それが起こる必然性は良く理解されていません。

 これらを理解するためのキーの一つは、地殻の中でマグマに何が起こるかということです。マグマが発生してから地表噴出までの間に、地殻の中を通過します。その時に、地殻により冷やされ、地殻と反応し、マグマの組成や量が変化します。これらの過程の時間的変化が進化であり、火山ごとの違いが多様性であるということができます。私は、現在特にカルデラ火山に焦点を当てて研究を行っています、火山灰や溶岩の化学的、岩石学的な分析により、マグマであった時に地殻中で何があったかを読み取り、解釈します。また、それらの解釈が、物理的な観点と調和的かを調べ、より合理的な地殻内マグマ過程の理解を進めていきたいです。

 現在、神戸大では海洋底探査センターがリードして、日本で最も若いカルデラ火山である鬼界カルデラの総合的な研究が進んでいます。惑星学専攻にはカルデラ火山に興味を持たれている教員、学生の方も多くおられます。私は、素晴らしい研究環境に身を置くことをできたことを喜んでおり、皆さんと研究・議論を深め、火山の理解に深めていきたいと考えます。

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