神戸大学 大学院理学研究科・理学部

研究トピックス

パラメータ付積分、代数的アルゴリズム、数学ソフトウエア

数学科・数学専攻 計算数理教育研究分野 高山 信毅 教授

高山 信毅 教授  パラメータθを含む積分Df(θ,x)dxや和Σk∈Sf(θ,k)はいろいろな分野に出現する数学的対象である。たとえば統計学での正規化定数はこのような積分や和で書けることが多い。f がholonomicな関数であるときこれらの積分や和はまたholonomicという性質を満たす。これはD-加群の理論により証明できる。この性質によりこの積分はθについての線形微分方程式系をみたしこの和は線形差分方程式系を満たす。近年、これらの方程式系を構成するさまざまな代数的アルゴリズムが研究されていて、さらにこれを利用してたとえばさまざまな正規化定数が計算できるようになった。図はこの手法を用いて計算したあるrandom matricesの累積分布関数のグラフである。

 最近は以上のようなことを研究しているが、研究の大きな枠組みとしているのは“計算機と協力して数学の問題に取り組むための理論の構築および実装”である。桁数の少ない数値を計算機で処理することによる取り組みは長い歴史をもつが、抽象的と思われてきた代数、幾何、解析の理論の多くが実は計算機に実装可能であるものに変身可能ということが、1970年代前後から次々と明らかになってきた。連動してさまざまな分野の数学ソフトウエアが研究されている。上記の研究もそのような流れの一部である。

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