神戸大学 大学院理学研究科・理学部

研究トピックス

マイクロ機械デバイスが切り拓く超精密物理計測

物理学科・物理学専攻 極限物性物理学教育研究分野 大道 英二 准教授

大道 英二 准教授   私たちの身の回りでは、知らないところでマイクロ機械デバイスと呼ばれる微小な素子がたくさん用いられています。例えば、携帯電話に入っている加速度センサーや小型血圧計に入っている圧力センサーなどはそのような典型例です。これらの微小なデバイスは高感度の測定を高速に行うことができます。

 私たちのグループではこのような超小型のマイクロ機械デバイスを用いて、精密な物理計測を行っています。例えば、下図に示すようなメンブレン(膜)デバイスと呼ばれる微小機械デバイスは、トランポリンによく似た形状をしています。こういったデバイスではその微小な構造を活かして、ピコ(10-12)ニュートンといった非常に微小な力を検出することができます。従って、興味のある現象をデバイスにはたらく力へと変換することで様々な物理現象を捉えることができるようになります。

 このような微小デバイスを用いると他の人には測定できないような微小な信号をとらえることが可能になります。例えば、新しく合成されたばかりで1マイクロ(10-6)グラムにも満たないような微小試料は恰好の測定対象です。また、厚さが100ナノ(10-9)メートルしかないナノメンブレンデバイスを用いて金属タンパク質の微量溶液試料の測定も行っています。

 「新しい計測技術が新しい物理を切り拓く」という信念の下、測定装置を一から自分で設計し、オンリーワンの装置に作り上げることをモットーにしています。

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