神戸大学 大学院理学研究科・理学部

研究トピックス

結び目の数学

数学科・数学専攻 幾何学教育研究分野 和田 康載 助教

和田 康載 助教  ネクタイ、リボン、ロープなど私たちの身の回りには様々な結び目があります。数学には、結び目を数学的な対象として研究する結び目理論という分野があります。 日常生活の中で結び目といえば、紐を結んだ状態のことを想像するかと思いますが、数学において結び目を考える際には、紐の両端を閉じることにします。 一例として、下図には、ひとえ結びされた紐の両端を閉じて得られる、三葉結び目と呼ばれる結び目を示しています。
 結び目理論では、紐を連続的に変形して移り合う結び目は同じものと見なして、結び目を研究します。 紐の結び方はいろいろあるので、様々な種類の結び目があります。では、結び目の種類が異なることを判別するには、どうすればよいでしょうか? 結び目に対して定められる値で、結び目を変形することに関して不変であるようなものを「不変量」といいます。 不変量を用いて、結び目の種類が異なることを判別することができます。そのため、結び目の不変量を研究することは重要であり、様々な不変量が開発されてきました。

 私はこれまで「ミルナー不変量」と呼ばれる不変量を主に研究してきました。ミルナー不変量が、 絡み目(すなわち、いくつかの結び目が互いに交わることなく絡まっているもの)をどの程度強力に分類できるかを解明すること、 ミルナー不変量が反映する絡み目の幾何的な性質を特徴づけることなどに取り組んできました。 また最近は、種々の不変量を統一的に扱う手法を与える「有限型不変量」という不変量の集合にも興味をもち、研究を進めています。 代数的な道具である不変量を用いて、結び目・絡み目の幾何的な性質を理解したいと考えています。

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