神戸大学 大学院理学研究科・理学部

研究トピックス

地下から探る未知素粒子「宇宙暗黒物質」の謎

物理学科・物理学専攻 粒子物理学教育研究分野 身内 賢太朗 准教授

身内 賢太朗 准教授  宇宙には私たちの知っている「物質」の5倍以上もの未知の物質が存在していると考えられています。 しかも、こうした物質が私たちの宇宙の進化に大きく寄与し、例えば私たちの銀河の形成の元になったと考えられています。 こうした未知の物質は「暗黒物質(ダークマター)」と呼ばれ、我々はその性質解明に挑んでいます。暗黒物質は通常の反応確率が非常に小さいため、 その反応を捉えるためは大型の実験装置を地下に設置して長期間観測する必要があります。 我々はイタリアのグランサッソ研究所の地下実験室で行われている国際共同実験XENON実験と、 神岡の地下実験室で行われているNEWAGE(ニューエイジ)実験によって暗黒物質の謎に挑んでいます。
 XENON実験では、極低バックグラウンドの液体キセノン検出器を用いて、世界最高の感度で暗黒物質を直接検出する事を目指しています。 約8.6トンの液体キセノンを用いたXENONnT検出器は、2020年から継続して観測を行っております。 これまでのところ(2023年4月現在) 暗黒物質検出の兆候はありませんが、いつ暗黒物質が発見されてもおかしくないエキサイティングな研究が続いています。

 NEWAGE実験は、神戸大学が中心となって推進する次世代暗黒物質探索実験です。NEWAGEは、独自に開発した3次元ガス飛跡検出器を用いて、 事象ごとの到来方向を捕え、暗黒物質の確実な証拠を得て、さらに性質解明を目指す実験です。 これまでに、方向に感度を持った手法として世界最高感度の成果を挙げており、現在さらに大容積の検出器での探索の準備を進め、暗黒物質の性質解明を目指しています。

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