News Release
2021.02.15
物理学専攻の早田次郎教授、徳田順生研究員らの重力子を探索する方法を提案した論文が、
Physical Review 誌に Editors' Suggestionとして掲載されました。
自然界の4つの相互作用のうち、電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用の3つは量子論による記述が成功している。
重力相互作用も量子論によって記述されていると考えるのは自然であり、
電磁場の量子として光子が存在するように、重力場の量子として重力子が存在すると期待されている。
未知の粒子である重力子が発見されれば、物理学が大きく発展する。
早田次郎教授、徳田順生研究員は、九州大学の菅野優美准教授との共同研究により、重力子を探索する方法を提案した。
量子論の特徴は、量子エンタングルメントにあるが、本論文では、重力子に起因するデコヒーレンスによって
量子エンタングルメントが消失する速さが物体の質量とプランク質量の比の2乗に比例することを明らかにし、
具体的なモデルでこの比例因子を理論的に計算した。
現時点において、重力は90ミリグラム以上で実験的に検証され、50ナノグラム以下で量子制御が実現されている。
論文では、重力実験と量子実験が未だ到達していないプランク質量スケール(0.01ミリグラム)において
テーブルトップ実験を行うことで、ちょうどブラウン運動の観測によって原子の存在が証明されたように、
デコヒーレンスの観測によって重力子の存在を証明できることを示した。近年の量子制御技術の発展により、
プランク質量スケールの物体の量子制御を実現する可能性が見えてきており、
本研究は重力子探索への新たな方向性を示している。
"Noise and decoherence induced by gravitons"
DOI : https://doi.org/10.1103/PhysRevD.103.044017
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