神戸大学 大学院理学研究科・理学部

News Release

2021.07.07

生物学専攻(内海域環境教育研究センター主配置)の川井浩史特命教授と羽生田岳昭助教は、瀬戸内海西部で採集した新奇の褐藻を、新属新種Setoutiphycus delamareoidesと命名し、Scientific Reports誌で発表しました。

 この海藻は、水深2~5m程度の海底の岩や貝殻などに着生しており、藻体は長さ15cm、 直径2mm程度になる細い円柱状で、カヤモノリやニセカヤモなどのシオミドロ目の褐藻に似た外観をしていますが、これらの種と異なり、ごくまれに枝分かれします。藻体の断面では、細長い皮層細胞をもち、生殖器官として披針形の複子嚢と球形の単子嚢を生じる点は、ニセカヤモとよく似ていますが、成長様式が異なります。そこで遺伝子の塩基配列による分子系統解析を行った結果、シオミドロ目の中でも以前ウイキョウモ目として区別されていたグループに近いことが確認されましたが、これまでに知られているいずれの属にも含まれませんでした。このため、新属の新種 Setoutiphycus delamareoides(和名:セトウチカヤモ)と命名しました。このグループで、属レベルで新奇の種が発見されるのはかなり珍しく、数十年ぶりのことです。瀬戸内海ではこれまでにも、この海域だけに分布する固有種や、この海域と東北地方の沿岸だけで見つかっている種などが報告されており、特徴的な海藻植生を示すことが知られています。
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