神戸大学 大学院理学研究科・理学部

News Release

2022.04.28

惑星学専攻博士前期課程の岩本さん、都市安全研究センターの末永さんと吉岡教授は、アラスカ沈み込み帯の低周波微動と脱水の関連を解明し、 研究成果がScientific Reportsに掲載されました。

 アラスカ沈み込み帯では、太平洋プレートの沈み込みに加えて、ヤクタットテレーンと呼ばれる海台も沈み込んでいます。 スロー地震の一種である深部低周波微動はヤクタットテレーン領域のみで検出されていますが、その発生メカニズムの詳細はよくわかっていません。 惑星学専攻 博士課程前期課程2年の岩本佳耶さん、都市安全研究センターの末永伸明学術研究員、吉岡祥一教授は、深部低周波微動の発生メカニズムを明らかにするため、 アラスカ沈み込み帯を対象とした3次元熱対流数値シミュレーションを行いました。得られた3次元温度構造をもとにスラブに含まれる含水鉱物の相図を用いて、 脱水分布を求め、深部低周波微動の発生域と比較しました。

 その結果、深部低周波微動の発生域付近でスラブの海洋堆積層、及び海洋地殻からかなりの量の脱水が見られることがわかりました。 深部低周波微動が太平洋プレートでは発生せず、ヤクタットテレーンでのみ発生するのは、ヤクタットテレーンは、海洋堆積層や海洋地殻が厚く、 これらの層からの脱水の総量が多くなることに起因していると考えられます。

 

 この成果は、4月14日に、英国Nature Publishing Groupのオンライン科学雑誌「Scientific Reports」に掲載されました。 詳しくは こちらをご覧ください

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