神戸大学 大学院理学研究科・理学部

News Release

2022.10.31

化学専攻の津田明彦准教授のグループが、ポリペプチド原料の光オン・デマンド合成に成功

 蜘蛛の糸のように強くて伸縮性のある天然動物性繊維は、ポリペプチド構造を持ち、それをモチーフとした機能性材料の開発が活発に行われています。人造ポリペプチドの原料となるα-アミノ酸 N-カルボン酸無水物(NCA)は、分解しやすい化合物であるため商品化が難しく、市販の試薬として手に入りにくいため、必要な場所で、必要な時に、必要な量を合成しなければなりません。NCAは一般に、植物由来のアミノ酸と、ホスゲンから合成されます。しかし、ホスゲンは極めて高い毒性を持ち、その使用には危険が伴うため、それを代替できる新たな化合物や化学反応が求められてきました。理学研究科化学専攻の津田明彦准教授の研究グループは、同グループで開発した光オン・デマンドホスゲン化反応を使って、汎用有機溶媒のクロロホルムとアミノ酸から、安価な試薬と器機のみを使って、安全かつ簡単な操作によって、NCAを合成することに成功しました。

 本研究成果は2018年11月と2019年11月の特許出願(2020年6月公開)を経て、2022年10月19日に、関連の学術論文がACS Omegaにweb掲載されました。

 海外のソーシャルメディアで多数取り上げられ、2022年10月31日時点でAltmetric Score が55 (Top 5% 注目論文)に達しました。

 研究成果の詳細は下記から御覧下さい。

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