神戸大学 大学院理学研究科・理学部

News Release

2023.02.24

化学専攻の秋本誠志准教授、植野嘉文研究員(研究当時)、古谷実佑さん(修士課程)が参画する研究グループが シアノバクテリアのPSI単量体IsiA超複合体の構造と機能を解明しました。

 化学専攻の秋本誠志准教授、植野嘉文研究員(現東京理科大嘱託助教)、古谷実佑さん(修士課程)、岡山大学の長尾遼特任講師(現静岡大学准教授)、 加藤公児特任准教授(現JASRI研究員)、沈建仁教授、理化学研究所の米倉功治グループディレクター、浜口祐研究員(現東北大学准教授)、 川上恵典研究員、東京都立大学の得平茂樹教授、理化学研究所の堂前直ユニットリーダーらの研究グループは、IsiA(注釈1) 遺伝子を4つ持つアナベナと呼ばれるシアノバクテリアからPSI(注釈2)-IsiA超複合体を精製し、クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子構造解析により、2.64Åの分解能で立体構造を解明しました。 アナベナPSI-IsiAは、以前に報告した通常のシアノバクテリアのPSI-IsiA(注釈3)とは異なり、PSI単量体に対して、6個のIsiAが結合していました。 時間分解蛍光スペクトルの解析により、アナベナが持つIsiAには、光エネルギーを集めて55ピコ秒(1ピコ秒は1兆分の1秒)で PSI に伝達する機能と光エネルギーを120ピコ秒で熱エネルギーに変換する機能の両方があることがわかりました。

 本研究成果は、日本時間 2月21日(火)、英国の科学雑誌「Nature Communications」に掲載されました。詳しくは こちらをご覧ください。

  • (注釈1) IsiA:生育に必要な鉄が減ることにより、シアノバクテリアに発現する集光性色素タンパク質iron-stress-induced A。
  • (注釈2) PSI:酸素を発生する光合成に必要とされる光化学系のひとつ(光化学系I)。
  • (注釈3) シアノバクテリアのPSI-IsiAの構造:こちらをご覧下さい。

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