神戸大学 大学院理学研究科・理学部

News Release

2023.08.28

生物学専攻の末次健司教授が、キノコを「食べる」植物が本来はキノコを利用するはずのハエに受粉の見返りとして 繁殖場所を提供していたことを明らかにし、その成果をEcology誌に発表しました。

 神戸大学大学院理学研究科の末次健司教授は、フユザキヤツシロランという光合成を行わないラン科植物が、 キノコ食のショウジョウバエと特殊な共生関係を築いていることを明らかにしました。
 具体的にはフユザキヤツシロランは、キノコ食のショウジョウバエに花粉を運んでもらう見返りに、 傷んだ花びらを幼虫の餌として提供していることが分かりました。フユザキヤツシロランは、光合成の代わりに、 地下でキノコの菌糸を取り込んで消化し栄養を得る菌従属栄養植物です。菌従属栄養植物は、 自身が消化するキノコと似た成分を持つことが知られています。つまり、キノコを「食べる」ことが、 本来はキノコを餌とするショウジョウバエと共生できた秘訣である可能性があるのです。 なおラン科植物は約25,000種からなる世界で最も種数の多い科ですが、ラン科全体でも花粉の運び屋に繁殖場所を提供する 送粉システムが発見されたのは世界でも初めてのことです。

 本研究成果は、8月23日に、国際誌「Ecology」にオンライン掲載されました。 詳しくはこちらのページをご覧ください。

ニュース一覧