神戸大学 大学院理学研究科・理学部

News Release

2023.09.08

生物学専攻の末次健司教授らの研究グループが、国内希少野生動植物種に指定されている「ハガクレナガミラン」の中に、 日本では記録のなかった別の種が含まれていたことを解明し、その成果をActa Phytotaxonomica et Geobotanica誌に発表しました。

 末次健司教授らの研究グループは、日本では沖縄県の西表島のみに分布する「ハガクレナガミラン」として認識されていた植物の中に、 日本では記録のなかった別の種が含まれていたことを解明しました。2007年に発見され、ハガクレナガミランとして近年発行された図鑑にも 掲載されていた植物がその代表例で、2022年に新たに見つかった個体が開花したのを機に詳しく検討を行いました。 その結果、これらの個体は実はハガクレナガミランではなく、ベトナムやタイ、台湾、中国、マレーシアから報告されていた同じカヤラン属の Thrixspermum annamenseであることが分かりました。日本からは未報告であったことからThrixspermum annamenseの和名として、今回新たにイリオモテカヤランと命名しました。両者は、見た目が似ており、どちらも西表島に分布していることも相まって混同されていたと思われます。

 ハガクレナガミランは、国内希少野生動植物種の1つであり、環境省のレッドリストでも最も高いランクである絶滅危惧ⅠA類に指定されています。 つまり「ハガクレナガミラン」は、既に希少種と認識されていましたが、今回の成果により、実は2種であり、それぞれの種の個体数は、 もともとの想定よりもさらに少ないことが分かりました。つまり本成果は、「ハガクレナガミラン」(=ハガクレナガミランとイリオモテカヤラン)が、 これまでの想定以上に慎重な保護が必要な存在であることを明らかにするもので、イリオモテカヤランも絶滅危惧種として保護されることが期待されます。

 本研究成果は、9月8日に、国際誌「Acta Phytotaxonomica et Geobotanica」に掲載されました。 詳しくはこちらのページをご覧ください。

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