神戸大学 大学院理学研究科・理学部

News Release

2024.05.31

惑星学専攻の斎藤准教授らの研究グループが、球状星団(*注1)の形成過程の大規模コンピュータシミュレーションを行い、星の合体から超大質量星が形成され、それが中間質量ブラックホールになるということを明らかにし, その成果をScience 誌に発表しました。

 これまで、太陽の100倍程度以下の恒星質量ブラックホールと、太陽の10万倍程度以上の質量を持ち銀河の中心に存在する超大質量ブラックホールの存在が知られていますが、 その間に位置する中間質量ブラックホールは観測的にも理論的に謎に包まれていました。 今回のシミュレーションでは、星団形成過程の中で星一つ一つの形成と進化を追うことで、星団の中心に星の合体によって急速に成長し、太陽の1万倍程度の質量を持つ超大質量星(*注2)が作られること、 また、星の進化理論に基づくとそれが太陽の数千倍の質量を持つ中間質量ブラックホール(*注3)になることを示しました。 中間質量ブラックホールは、恒星質量ブラックホールと超大質量ブラックホールを繋ぐミッシングリンクであり、この研究は超大質量ブラックホールの形成過程を理解する上でも重要な意義があります。

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論文情報:

  • "Simulations predict intermediate-mass black hole formation in globular clusters"
    DOI: 10.1126/science.adi421

  • *注1 球状星団: 数百万個以上の星が球状に分布し互いの重力によって束縛されている天体.
  • *注2 超大質量星: 質量が太陽の数百倍を超え、数千倍、1万倍までの質量を超える星. まだその存在について観測的な証拠はない.
  • *注3 中間質量ブラックホール: 太陽の100倍から1万倍の質量を持つブラックホール

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